淫らな月が上る空〜里香の変なおつかい〜

伊勢の若葉病院の物語を覚えている者は、幸せである。
心豊かであろうから。
私達は、十七歳の時の記憶を印されてこの世に生きているにもかかわらず、
思い出すことのできない性を持たされたから・・・。
それ故に、戎崎裕一の語る、次の物語を伝えよう。

里香に頼まれたお使いを済ませた僕は、ちょっと不思議に思っていた…わだか・まり‥
じゃなかった。わだかまりっていうヤツだ。
とりあえず、里香ご所望の本を図書館で借りて来て、病室のベッドの上で何をするでも無く待っていた里香に手渡した。
恐らく、体力作りの散歩後で休憩していたのだろう。今は昼下がり、丁度眠たい時間かも知れないし。
「裕一、いつもいつも悪いね!」
「あ、ああ‥」
僕がその本を手渡すと里香は、僕にしか見せてくれない飛びっきりの笑顔で、お礼を言ってくれた。
すると、僕の頭の中のわだかまりは、心の端っこに追いやられた。
里香は、目から笑っているのでその笑いがお愛想笑いでは無いのがわかる。
最近の里香はとても調子が良いらしく顔色も健康的な赤みを持っているし、
全体の雰囲気も明るくなっていて、身体の肉付きも良くなってきている。
この里香の笑顔を見るためなら、いくらだって、何回だって本を借りて来てやると思った。
「いや、そりゃさ、里香も最近は体力作り頑張ってるし、俺もこの位の事はさ」
少し前から里香は自分から努力して、体力を日常生活に支障が起こらない程度に上げたのだ。
多分、里香がそういう事をするのも、僕と一緒に退院したいとか、外出したいとか、デートしたいとか…
…デートしたいかどうかはわからないけど、とにかく、今の里香は心身共にとても良いコンディションなのだ。
そういう、里香から見たら邪な事を考えながら里香と少しおしゃべりしていると、時間が部屋に戻るように言っていた。
「げっ、俺そろそろ検査あるから戻らなきゃ…」
僕が何気なく里香にこう言っても、やはり里香は機嫌が良いのか、
「検査なんかしなくっても裕一は元気なのにねぇ」
と、可愛い仕草でさほど大きくない本の背表紙を撫で撫でしながら言ってくれた。
「誰かさんに散々無茶させられてるお陰で逆に身体が強くなったんじゃないのか? じゃ!」
僕はそう言い残すと、少々走って里香の病室を後にする。
「裕一ぃ! 誰かさんって誰の事!?」
帰りがけにドアを閉める時に、そんな声が聞こえたが、とりあえず今は検査に間に合わなくては。
今日の僕の担当の亜希子さんを怒らす訳にはいかない。亜希子さんには色々借りもあるしさ…
――それから僕の心の中で、今日里香の為に借りてきた本に対するわだかまりが浮かび上がって来て、
僕がそれで考え込んでいるのは、若葉病院の消灯時間を三十分程過ぎた頃だ。
入院患者というのは、消灯時間が過ぎたからと言って直ぐに寝られる訳でも無く、
種々雑多なシリアスな事から下らない事まで考えてしまうものだ。
で、今晩の僕は、あの昼間の本の事で考え込んでいた――

やっぱり、あの本はおかしい…
筋金入りの読書家の里香の読みたいモノなんだから当然面白いんだろうが、作者の名前も僕は知らなかった。
何だよ? 『×××な月が上る空』ってよくわからないタイトルは?
しかも借りる時に、貸し出しカウンターのお姉さんに凄く変な目で見られたし。
まあ、それだけならまだ変じゃないけど、借りる時にちょっと見た、章ごとに決まってるサブタイトルなんか、
『ハーフムーンラブ』『カーテンの向こうで』『スイート・メモリーズ』『飛翔』
僕が覚えてる限りこんなのが続いていた。あぁ、そこはかとなくエロスだ。
本の表紙とかは普通だったけど大人向けの小説なのは間違いないし、という事は……
―ベッドの中で何度も寝返りしながら考え込んだ裕一が出した結論はこれだった―
(大人向けのエロシーンあり、愛憎劇ありの官能まがい小説!?)
里香がそういうモノに興味があるとは…僕はうつぶせの体勢のままショックで数秒固まったが、
里香の年頃を考えればあるいは…本人が聞いたら怒るだろうがおかしい事では無いし、
自分だって、オリジナルのコレクションを所持しているのだから、
もしかしたら里香もその手のモノをコレクションしている可能性はあった。
すると、僕は急に会いたくなった。里香に。
いやらしい事を期待しているのは否定出来ないけど、
『今日は昼間あんまり話せなかったから』なんて理由を付ければ、里香と会って話せると思った。
そう考えた僕は、自分の部屋を抜け出す準備をした。

――消灯時間を超えていたから、僕はこっそりこっそりと里香の病室の前までやって来た。
秋庭里香と書かれたプレートを読んでドアの前に立つと、僕の心は弾んだ。
今まで何度も何度も、このドアの前に立った。
初めて里香に会った時、あの時は本の中身を知ったかぶりしちゃったんだよな…
砲台山に連れ出した時、我ながら無茶だったけど、多田さんが見守っててくれたのかも知れないな。
壁を走ってやっとたどりついた時、あの時の事は…いいや、めんどくさい。
とにかく色々あったけど、やっぱり里香の事は大好きだ。
さ、普通十七歳の男女がこんな時間会うなんて明らかに変だけど、
僕が夜会いに来る事ももう珍しく無いんだし、少しおしゃべりしたら帰ろう。
僕はあんまり五月蠅くないようにドアを二回ノックして開けた。
里香の返事を待たず開けてしまったんだ。
僕が里香の病室に入って、ドアを閉めた後に初めて目に入ったのは、
ベッド脇のスタンドで明かりを採りながらベッドで本を読んでいる里香の姿だった。
布団は掛けていなくて、身体が露出する様に捲ってある。
里香が持っている本はさっきから僕のわだかまりになっていた本で、里香はそれを左手に持っている。
で、僕はその一秒後位に、里香のパジャマの前がはだけてて、
右手がズボンの中…‥股間辺りに突っ込まれてるのに気付いてしまった。
次の瞬間僕は慌てて後ろを向いて、消灯時間を過ぎているのに割と大きな声でこう言った。
「お、俺何も見てないよ! ホ、ホントに!」
……‥ああ、もう駄目だ。これはマジで。
女の子の、しかもなぜか例によって地獄で悪魔と言うか晴天のヘキレキと言うか…
里香の、里香の●●●●を見てしまったなんて…
でも里香の胸、ぺったんこだけど可愛かったなぁ‥顔もなんか色っぽかったし…
ん? ブラジャーとかはどうしたんだろう? 最初から付けてなかったのかな?
いやいや今はそんな事考えてる場合じゃない。
‥鬼神の如き強烈さで里香に怒られた後、散々パシリにされるならまだしも、
今回はそういう展開では無く、多分かなり長い間里香に口をきいてもらえないだろう…
三日‥? 五日‥?  一週間…?  二週間…?
里香の気持ちもわかるけど、僕にとっては地獄だ。
地獄…正に地獄だ……! どうすれば良いんだろう……俺……
――僕のちっぽけな脳の内部を様々な情報が駆けめぐり、
世界恐慌並の大パニックを起こしている時に、不意に里香が声をかけた。
「裕一っ! …こっち…」
頼み込むような里香の声に僕は思わず声を上げていた。
「へ……!?」
「こっち、向いて良いよ」
「…裕一、良い?」
里香のベッドで仰向けに近い体勢になっていて、枕に背中を付けている状態の僕に、
下の方から四つん這いみたいな体勢の里香が話しかけてきた。
里香は下半身に何一つ着ていなくて、上のパジャマだけ着ている状態だ。
僕からは、里香のパジャマの胸元の隙間から素肌が見えていて、
顔なんかもう恥ずかしくて直視するのがある意味辛い。
とにかく、その光景はひどく初々しくて可愛くて、エロくて、どんなエロ本よりも僕の男心を掻き立てる。
で、事の成り行きの強引さを否定することも出来ずに、僕は情けなく頷いた。
すると、里香は恐る恐る僕のズボンとパンツを下ろし始めた――
―――どうなってるんだろう、この展開は。

…さっき僕が里香の行為を目撃してしまった後、
里香は僕を怒るわけでも、遠ざけるわけでも無く、ベッドに寝てといった。
ベッドに寝ながら僕は、もしかしたら里香もこういう事態に『期待』していたんじゃないかと考えた。
でも、だからってそれでどうこうなる訳じゃなかったし、嫌な気分はしなかった。
僕達はいつまでも子供じゃないっていう考えもあったし、里香が望む事なら何でもしてあげたい。
例え、僕が経験不足だったり力不足だったとしても。
…里香のお母さん、すみません。僕はまた里香を奪います…。
―僕がそんな回想や決心をしている内に、僕のズボンとパンツは里香によって脱ぎ捨てられて、
里香は十分に勃起し、力強く脈打っているペニスを慣れない手でこねくり回しながら観察していた。
「男の子のここって、こんなになってるんだ…」
薄暗い中で読み取れる表情は強張っていると言うか、赤面していると言うか…
里香も性経験はゼロに等しいはずなので、本で仕入れた情報を基に実銭に移すのだろう。
そりゃあこんな顔もするはずだ。男の僕だって恥ずかしさで理性が飛びそうなんだから。
ああ、せめて僕がロード出来れば…と言っても僕の持っている性知識なんてこの場合では生かせそうに無いが。
そんな事を思っていると、里香が口ごもりながら話しかけて来た。
「‥裕一、痛かったら言ってよね? わ、私だって初めてなんだから…
 私にあんまり恥かかせないでよ…」
「う、うん…」
ああくそ、これじゃあ更に情けないじゃ無いか…
…僕が自虐的になっている事なぞお構い無しに里香は僕のペニスを愛撫して来た。
里香が真っ白な右手の細い指で僕のペニスの皮を剥いて、空気の中に亀頭を露出させる。
そののまま大胆にも、ペニスに舌を伸ばして愛撫しはじめた。
里香の舌は生温かくて変な感覚で、僕は嫌でも興奮した。
まずはエラの所から、亀頭全体を舐める様にする。
亀頭全体が里香の唾液と僕の先走りで濡れてぬらぬらと光り出す。
次に里香の舌は裏筋に向かってきた。僕のペニスがピリッとした快感を感じる度に震えた。
ここが気持ちいいって知ってるって事は、やっぱり例の本で知ったのかな…
どうやら、最初ぎこちなかった里香も、僕の表情やペニスの部位ごとの反応を見て、
「実践的な」知識を頭に入れる度に大胆になる様だ。
次に里香は僕のペニスを口で咥え込むようにして、口内全体で愛撫を始めた。
「っ…‥!」
予想外の里香の大胆さに、僕の口から恥ずかしい声が漏れる。
でも里香も多分恥ずかしくて、『‥く、咥えて良い?』なんて露骨な事は言えなかったんだろう。
そして、里香の形の良い小さい口の中に、僕のペニスがすっぽり収まる。
里香の長い髪の毛が僕の太股辺りにあたってサワサワする。
里香の方は、ほとんど目を閉じて僕のペニスをしゃぶってくれている。
僕の中に情けない気持ちが湧きあがって来るが、それ以上に里香に対する愛おしさは一層だった。
当の里香はやはり恥ずかしいのか目は閉じていて、その顔がまた可愛い。
里香の舌が、口の中の温かさが僕のペニスを愛撫する度に、僕の中で段々スイッチが入っていく。
僕のペニスの隅々まで、里香は健気に気持ち良くしてくれる。ああ、何でこんなに里香は巧いんだろう?
口の中全体がねちゃっと吸い付いて来るような感覚の上に、敏感な尿道にも裏筋にも里香は舌を這わせて来る。
僕がその快感につい腰を引いてしまうと、里香は僕が丁度良く感じるように、
愛撫の強さや早さや方法、それに体勢を微調整してくれた。
たまに亀頭を甘噛みしてくれる所なんか、いやらしい言い方だけど病み付きになりそうだと思う。
更には頭全体を程良い早さで振って、しっかり扱いてまでくれた。
もちろん、先走り液も舐めとってくれているのだろう。
今まで自分が集めていたエロ本のコレクションがどうでも良く思える快感だ。
いやらしい水音が、病室に少し響いている。
僕は、すっかり里香に欲情していた。
しかし、未熟な僕がそんな快感に長く耐えられる訳もなく、射精の感覚が襲って来た。
実はここ三週間程全く抜いていなかったので、多分もの凄い量が出てしまうだろう。
付け加えて言えば三週間程前に僕を見舞いに、いやイジりに来た山西が、
「おい知ってるかよ裕一? オナニーってな、
 長いことやってないと女にモテるようになるんだぜ! 
 だからさぁ、里香ちゃんがいるお前も試してみたらどうだ!? 関係が良くなるんじゃねぇか?」
…なんて事を言っていたから僕はホイホイそれを信じて、それからずっと禁欲生活を送っていた。
だが実際禁欲してみると、里香と話す時の楽しさが二割増しになったし、
里香も楽しそうな顔をしてくれた。そのお陰か僕の体調も安定していた。
そして今、禁欲生活のお陰で相当ドロドロに溜まった僕の精液が、里香の口の中に吐き出されようとしている。
里香、ハードだってこれは…そもそも飲めるの?
「ひっ…!」
射精の先走りの、股間に何かが集まって蠢いている快感に僕は耐えきれずにまたも情けない声を上げる。
するとその声を聞いたからだろうか、里香が目を閉じたまま僕のペニスを口からちゅるんと引き抜いた。
これは寸止め状態に近い。こ、堪えるなぁ…
ねちゃっ、といういやらしい水音が鳴ると共に、僕のペニスが再び外気に晒される。
例に漏れずそのペニスは里香の唾液でぬらぬらと濡れて光り、
亀頭も輸精管も血管もビキビキになっているので益々いやらしかった。
次の瞬間、里香は何も言わずに僕のペニスの皮を右手で上に捲っていったかと思うと、
思い切り良く、物凄い早さで扱き始めた。
唾液やら何やらでかなり滑りやすくなっていたのだから、音もかなり出た。
思わず僕の腰が反射で震える。
ぐちゃっ!ぐちゃっ!ぐちゃっ!ぐちゃっ!
「ひぃっ…!」
さっきからいい加減射精しかけていた僕が耐えられる訳も無く、
あえなく僕は絶頂を迎えてしまった。
「うっ‥! ごめん里香、出ちゃうよ…!!」
今まで溜まっていたモノが、脳を麻痺させる様な快感と共に放出される。
ドクドクッと僕のペニスが強く脈打ってその度に里香の可愛い顔に、
僕の色が濃くてドロッドロッの精液がかかってしまう。
とんでもないシチュエーションと快感に、僕は射精している間里香を直視出来なかった。
僕の射精が収まって里香の顔を見ると、僕は背徳感と罪悪感に震えそうになった。
里香は僕の射精の時に目を閉じていたらしく、目には入らずに済んだ様だが、
それ以外の顔のパーツのほとんどに僕の精液がベットリとかかってしまっていた。
最近健康的になってきたほっぺたにも口元にも、髪で隠れているおでこにもだ。
それどころか、綺麗なつやつやの前髪や、耳元の髪の毛まで白い粘着性の汚れがこびりついている。
辺りには二人の汗と僕の精液の匂いが混じって漂い始める。
そして、里香は顔を紅潮させて、一種の放心状態に近い表情をしている様に僕は見えた。
息もやや荒くて、体調が安定していない里香ならば発作を起こしてしまうかも知れないと僕は思った。
僕はそんな考えもあって、里香にこう言ってしまった。
「り、里香大丈夫…? ‥ゴメン‥俺、里香に…」
しかし口から出てきた言葉をとりあえず言ったら、僕は里香に予想外の反応をされてしまった。
僕の言葉を聞いた里香は、怒るような、悲しむような表情になってこう言ってきたのだ。
「‥こ、このバカ裕一! そういうのが私に恥かかせてるってわからないの!?」
ちなみに里香の顔にはまだ精液が付いてはいるが舌なり指なりで、少しずつ舐めとっているらしく、量は減っていた。
男の僕でも舐めた事のない精液を、里香が舐めてるのか…
僕は色んな事に面食らいながらなんとか応対する。
「え、でも‥里香がこんなに一生懸命にしてくれたのに俺は何もしなかったし…
 それに、こんなに汚しちゃったし…」
里香はその言葉もやっぱり気にくわない様だ。
きっと、里香の真剣な想いを、煮え切らない僕が傷付けてしまったんだ。
心臓病の患者である里香にとって、こういう行為に命の危険が無いとは限らないのだから、
健常な女の子以上に勇気と覚悟を持って望む必要があるのだ。それなのに僕と来たら…
だから、心の中で、僕はまた里香にごめんと言う。
「だったら、ごめんなんて言わないで…
 代わりに今度は…裕一が私にその…‥してよ!」
新たな里香の発言に、僕の脳がごめんモードをとりやめる。
え? 何をしろって言うんだ?
あぁ、こういう場合はもう…
遂に僕の妄想が現実に、いやこんな形でとはわからなかったけど…
とにかく今僕は里香の病室のベッドで、仰向けになっている里香の上に覆い被さる様になっている。
と言っても、手はベッドに付いていたりと、里香に重みをかけない様にしてあるが。
例によって二人とも着ていなくて、薄めの一枚の布団でお互いが下半身を隠している状態である。
僕の体温を里香が間近に感じて、僕も里香の体温を間近に感じていた。
病室の中で、二人の鼓動と呼吸が響く様な静けさだ。
そんな状態で、僕は下の里香の顔を向いて最後の許可をもらう。
「…里香、良い?」
里香も僕の目を見ながらこくんと頷く。
里香は、先ほどとは打って変わって、とてもしおらしくなってしまっていた。
顔を恥ずかしそうに赤らめ、目は上目使いのまま、少し怯えている様にも見える。
可愛い…可愛すぎる‥これは是が非でも僕が里香をリードしてあげなくてはと気持ちにさせる。
僕は、幸せ者なんだ。
僕の気持ちは行動に転化されて、次の瞬間僕は里香を正面からぎゅっと抱きしめて、
そのまま横にゴロンと転がっていった。
僕の鼻に里香の肩の髪の毛のシャンプーの匂いが入り込む。
それに腕と身体全体で、里香の柔らかくて暖かい、未発達な身体を感じる。
確かに、里香の存在があった。
「ちょっ、ちょっと裕一‥!」
里香が恥ずかしがってるけど、構うもんか、もっと強く抱いてやる。
僕は里香が死ぬまでこの手で守って行くんだ。
「里香、耳って弱い?」
「え、何?………ひゃっ!」
里香が急に声を上げたのは、僕が里香の耳たぶを甘噛みしてやったからだ。
女の子は一度性的興奮が高まると全身が性感帯になってしまうと話しは嘘じゃなさそうだ。
少し調子に乗った僕は続けて耳への愛撫を繰り返す。
強さを調整して甘噛みを繰り返した後、舌で舐めてやったりした。
里香はその度に何かしら気持ちよさそうに反応してくれたので、僕としても悪い気はしなかった。
僕がそんな里香を見ていると、ふと、里香のさほど大きくない胸の乳首が目に入った。
薄暗い病室の中で、赤くしこりたった可愛い乳首が僕の視線を固定する。
僕はほとんど躊躇せずに、その右乳首の方を自分の口に含んで愛撫していた。
その乳首は、僕がコリコリと前歯を使って愛撫する度にどんどん硬くなっていく。
味は‥そんな事はわからなかったな…
「っ‥いきなり何するのよ‥!」
里香がその感覚に思わず目を閉じてしまいながら言うが、それがやっぱり僕には可愛く見える。
次に僕は左側の乳首を口に含んで、今度は口の中で舌を弾く様にする。
ちなみに先ほどまで口に含んでいた右側の乳首は、僕の右手で弄り続けている。
こうすればさっきとは違う快感を里香は感じるはずだと思った。
「ひぁっ‥ふぁ…」
案の定、里香は時折身体をくねらせたり、喘ぎ声を出して反応してくれた。
そして僕がその愛撫を続けて行くと、里香は何度か身体をビクッとさせた後、
懇願するような、それでいて切なさを纏った顔で僕を見つめて来た。
僕は、その今まで見た事の無い里香の表情にどきっとしてしまった。
恥ずかしそうな顔や、イーだの顔や、拗ねた顔やらなら見たことがあるが、
こういう顔を見た事は無い。多分、夏目だって見た事は無いだろう。
僕がそんな事をぼけっと考えていると、里香が口を開いて喋っていた。
「ゆ、裕一‥あのね…」
不意打ちに近い状況だったので、僕は気の利かないクソ真面目な返事をしてしまう。
「何?里香? まさか発作が‥!?」
里香は僕の言葉には応えずに、舌から唇をスッと重ねて来た。
その口付けの味には、里香の心がこもっているような気がした。
「…‥」
僕は里香と唇を合わせながら、僕と里香の下半身を隔てている
薄めの一枚の布団を剥ぐと、里香の秘部にそっと右手を添える。甘ったるい空気が漂う。
僕はその瞬間、手に里香の愛液がねばついた瞬間に激しく興奮した。
とても里香の秘部を観察している余裕なんて無かった。
里香は僕がいつ行為に及んでも良いように、正常位の状態をとっていてくれたので、
そして僕は自分のペニスの亀頭を里香の秘部にぴとっとあてがう。
そのまま僕は里香に問いかけた。
「…良い?」
里香は切なげに目を閉じたまま、こくんと頷いた。
多分、普段はツンツンしている里香も、今は怖いんだろう。
僕はここまで自分に尽くしてくれる里香が本当に愛おしかった。
僕は覚悟を決めて、里香の秘裂に腰を落としていった。
生温かく、なんとも言えない感覚が僕の脳を走る。
このまま自分の全てが包み込まれてしまうような、そんな感覚だ。
僕のペニスがある程度里香の秘裂に入ると突然、里香が呻く様な声を上げて来て、
僕の背中まで手を回して必死になってしがみついて来る。
「っ……!!」
僕がまさかと思って里香の秘裂に目をやると、たいした量では無いが喪失の際の血が流れ出ていた。
実際に見ると結構ショックだったが、とにかく僕は腰を一回止めると、
なんとか里香の気を紛らわす為に里香に話しかけた。
「里香、大丈夫!? 痛くない?」
里香はなかば涙目でこう言った。
「だ、大丈夫…」
嘘だと思った。里香は明らかに無理をしている。
少しでも里香の気が紛れるならと、僕は虚勢を張って里香を言葉責めしてみた。
「…でもこれで、里香もバージン卒業だし、俺も童貞卒業だね?」
その僕の言葉を聞いて、里香の顔が羞恥心に赤くなる。
「バ、バカ…!」
里香の意識が上手くそれて来たようなので、更に続ける。
僕にとってもなかなかこれは面白い。
「そんな事言わないでくれよ里香…?
 だってそもそも里香がこんな時間に一人で…」
「う、うるさいうるさい!」
僕のすぐ近くで、里香の声が弾ける。
大分普段の里香に近づいて来た様なので、僕はまたアプローチをする。
「じゃあ…このまま続けても良い?」
里香は、割と落ち着いた顔で、うんといってくれた。
里香の許しを得た僕は、少しずつ確実に腰を落として行って、
とうとう僕のペニスの全てが里香の胎内に収まった。
今確かに、僕のペニスが里香の温かさに包まれながら力強く脈打っている。
僕は妙な昂揚感を感じながら、今度は前後に里香の胎内をかき回す様に腰を振る。
「はあっ…!はぁっ‥!」
「っ‥!いやぁっ‥ふぁ……」
それが続いていく内に二人の口から思わず快感にまみれた吐息が漏れ出す。
気付けば結合部からも、身体の悦びの声がクチュクチュと聞こえてきた。
僕はそれをネタにしてまた里香をからかってみる。
こういう事をしていると、まるで自分が夏目みたいな気がしたが、今はどうでも良かった。
「里香、ほら聞こえるか? ‥俺達のクチュクチュって音?」
里香は目を瞑ったまま、僕にせめてもの反論をしてくる。
その顔は艶っぽく上気して、息の荒さまでもが可愛く見えた。
「‥スケベ…! バカ…!」
二人の会話の合間にも、二人の興奮と発する水音は高まっていく。
不意に、里香の胎内が僕をきゅっと、抱擁してくる様に締め上げて来た。
僕はそのまま射精したくなるのを堪えながら、里香に話しかける。
「り、里香だってどうせ本で予習してて、興奮してるんだろ?
 今だって俺が話しかけたら、締め付けが強くなったよ?
 ぬるぬるしてて凄く気持ちよいし…」
「や、やめてぇ…!」
そんな下品な事を話している間に僕のペニスが里香の胎内の奥の方で、何かにコツンと当たるのを感じた。
僕の性知識が間違っていなければ、これは子宮口と言うモノだ。
僕が試しにその部分を重点的に責めると、里香が身体全体で反応してきた。
「ひぃっ…!」
身体を、快感に震わせ、両腕で僕を抱きしめ、胎内も収縮を繰り返す。
僕も出来る限り、かなりのスピードで腰を振り、体位を整えて里香を責め立てる。
二人は何度もお互いの身体の境界がわからなくなる程の絶頂の先走りに飲まれた。
グチュッ!グチュッ!グチュッ!グチュッ!グチュッ!!
激しい水音が鳴る中、とうとう僕にも里香にも限界が来た様だ。
里香が荒い息の中、なんとか僕に話しかけて来た。
「ゆ、裕一‥私もう駄目…」
里香は目を瞑り、半ば歯を食いしばって必死に自分を押しとどめていると言う感じだった。
その里香の表情に、僕も相づちを打つ。
「一緒にイこう、里香‥!!」
「うん‥!」
返事はそれだけで十分だった。
僕は最後の一突きに、里香の一番熱い部分を貫くと、そのまま里香と一緒に果てる。
お互いの身体の境界がわからなくなる。二人で溶けていく。
僕は、恐らくは里香も意識が焼き切れてしまう程の快感を感じる。
里香は快感にわななき、僕はただ精液を放ち続けるだけだった。
「‥イく! 私イッちゃうよぉ…!」
「り、里香ぁぁ…!!」
さっき前戯で一回射精してしまったとは言え、僕は三週間分の精力を溜めていたのだ。
かなりの量の濃い精液が、胎内の激しい収縮とペニスの脈動と共に里香の胎内に送りこまれる。
里香の胎内があっと言う間に満たされ、結合部にまで愛液と精液の混ざり物が溢れて来る…
――嵐の様な一時が過ぎて、僕と里香は何とかベッドや衣服を整えて、
今は二人とも落ち着いてベッドに座っている。
しかし、さっきまでは証拠隠滅に大変だった。万が一でも、行為の痕跡が残っていたとして、
それが二人以外の人間に見られれば大変な事になるのは火を見るより明らかだったので、
二人で必死になって隠滅したのだ。
大分心身が平常に戻って来た所で、僕は大変な問題に気が付いた。
そのままダイレクトに里香に不安をぶつけてみる。
「あの‥里香?」
里香がどこか幸せそうな顔をして、薄暗い中で僕を見る。
「なに?」
「今日さ…里香って‥その‥安全な日だったの?」
僕の問いに里香ははっとして僕に答えた。
「わ、わからない…でももし妊娠しちゃったら…」
「大丈夫」
うろたえた里香に向かって、僕は出来るだけ誇らしく言ってみせた。
「大丈夫だよ。 ‥里香は何があっても俺が守って行ってやるからさ!」
この台詞は自分でも青臭いかなと思ったが、里香の反応はもっと青臭かった。
「裕一、ありがと…!」
急に僕に抱きついて来た里香をしっかりと抱き返した僕は、世界一の幸せ者だと思った。

終わり


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1-353 淫らな月が上る空〜里香の変なおつかい〜

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