「…裕一」
 彼女に名前を呼ばれてやっと、自分が固まっていたことに気付いた。
 僕の目に写る、里香のほっそりとした肩。彼女は胸の前でシーツを押さえている。その下は何も着ていない。僕もまた、同じ状態だ。
「…どうしたの?」
「あ…いや、キレイだなって…」
 僕がそう言うと、紅かった里香の顔がさらに色付いた。
「っ…ばか、恥ずかしいでしょ…」
 口の中でモゴモゴと言葉を発する。そうしている里香がとても可愛らしくて、気付けば僕は彼女を抱きしめていた。
「あ…ゆう、いち…」
「…ごめん。ちょっと我慢…できない」
 謝らないで、と耳元で声がした。それを皮切りに、里香の唇を僕のそれでふさいだ。
 薄く形の良い里香の唇を、確かめるようになぞる。しばらくそうしていると、苦しくなったのか里香の口から声が漏れた。
「…んぅ…っは…ぁ」
 その際にわずかに開いた隙間から、舌を差し入れ里香の歯列をなぞる。
「んんっ!…ふゎ…んぅ」
 最初は少し戸惑っていたみたいだけど、やがて里香の方からも舌を差し出してくれた。
 どのくらいそうしていただろう。一分?二分?わからないけど息が苦しくなったから、どちらからともなく唇を離した。僕と里香の間を、銀色の糸が繋ぐ。
 そのままの状態でいるとやがて、僕らを繋ぐ糸がプツリと切れた。視線を少し上げ、里香を見つめる。里香もまた、僕を真っ直ぐに見ていた。
「里香…」
 何か言おうとして、何も出てこなかった。僕の心の中にある、いろいろな感情を言葉にしたいのに、それができない。
「大丈夫…裕一の気持ちは、分かってるから…」
 息が詰まった。微笑む里香がとても愛しくて。僕の気持ちを分かっていてくれたのが、とても嬉しくて。
「…ありがとう」
 僕はそう言って笑った。そして里香も、笑っていた。
「……続き、して?」 お互いの想いが通じているのは確認できた。となれば、その先にはただ1つしかない。僕は、里香の身体を隠すシーツをそっとずらした。
「…っ」
 微かに里香の四肢が強張ったのがわかった。
「………」
 キレイだった。僕みたいな奴が触れてはいけないと感じる程、美しかった。
 今まで何度思い描いたかわからない、里香の裸身。それが今、僕の腕の中にある。
「そんなに見ないで…恥ずかしいんだから」
 そう言って、里香はそっぽを向いてしまった。だけど、口元に手を当てて、チラチラと僕のことを見ている。僕は迷わず、もう一度唇を重ねた。
「…ん…ふぅっ…んぅ……ぁ………ゆういちの…ばかぁ」
 ばか、と言われて嬉しかった。僕はマゾってわけじゃない。だけど、心が温かった。
「…ぁ…やぁ」
 ぴくっと里香の身体が震えた。僕が里香の膨らみに手を添えたからだ。その手に、少し力を込めてみる。
「あ…んぅ…ゅ、いちぃ…」
 小さい方が感度がいいと、どこかで聞いたことがある。でも、今の僕はそんなことを考える余裕もない。里香の、あの里香の胸に触れている。その喜びで、僕の頭はいっぱいいっぱいだった。でも…。
「…裕一?」
 触れてから何も行動を起こさない僕を不審がって、里香が声をかけてきた。
「…どう、したの…?」
「その…すっごく嬉しくて、つい…」
 そこまで言うと、里香は僕の頭を引き寄せ、自分からキスをしてくれた。それは唇が触れるだけの、これからする行為を考えればひどく幼い、拙いものだった。
「ん…里香?」
「裕一…大丈夫。私はここにいるから…だから…ね?」
 柔らかく微笑むと、里香は僕の頬に触れた。不安を取り除くように、優しく撫でてくれる。
 敵わないな、と小さく呟く。僕は里香に触れた時、確かに嬉しさでいっぱいだった。だけどそれと同時に、わずかな不安も感じていた。
 漠然と、里香が僕の前から消えてしまうんじゃ前から消えてしまうんじゃないかって思った。それは、幸せすぎる現状への不安だった。
 そんな僕の不安も、里香は感じ取って、取り除いてくれる。安心をくれる。これほど嬉しいことはない。
「うん…もう、だいじょぶ」
感謝を込めて耳元で囁いた。ちょっとくすぐったそうだったけど、知ったことか。僕はそのまま、里香の耳朶に舌を絡めた。
「あっ…ゃぁ…らめ、ゆ…いちぃ…」
 ピチャピチャという音が、僕にも聞こえた。里香の頭にはダイレクトに響いているだろう。
「んぅ…あ…ふぅ、んっ」
「…ん、かわいいよ…里香」
 語りかけながら、指で突起を摘んでみた。
「あ…んぅっ!…ぁっ」
 里香の身体が、ピクリと跳ねた。そのままコリコリと弄ってみる。
「んっ…あっ!…んぅふ…やめ…ゆう、いちぃ…ああっ!」
 里香の反応は、とても可愛らしかった。そして、とても淫らだった。
「いやぁ…裕一ぃ…ん、ぁは…ん…」
 僕が行動を起こす度に、里香は可愛く反応してくれた。
 小振りな胸の麓を撫でると、恥ずかしげに眼を閉じる。
 キレイな足をさすると、耐えかねるようにキュッと指が丸まる。
 つんっと尖った胸の突起を押し込み、指先で捏ねれば一際甲高い声をあげる。
「里香…」
 閉じられていた眼が開き、僕たちの視線が絡み合った。
「ゆ…いち…なんか、ヘンだよぉ…あたし、こんなの知らない…」
 眼に泪を浮かべ、弱々しく僕を見ている。その表情に、いつもの強さはない。僕が与える刺激に翻弄される、普通の女の子だった。
「大丈夫…すごく可愛いよ」
 僕はそう言って、里香の足の付け根に手を置いた。
「あ…」
 瞳が、不安げに揺れている。恥ずかしさに顔を紅く染め、僕の手と、自らのその場所を見ている。
「…いい?」
 あえて尋ねるのは野暮ったい気がしたけど、里香が怖がらないとも限らない。僕は里香を見つめた。
 里香の目線が上に移動し、僕と目が合うとすぐに逸らした。そして小さく、
「…いいよ」
 と言ってくれた。


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