学校からの帰り道、移動販売の石焼き芋を買った二人。
公園のベンチに腰掛けて食べようとする。
「えへへ、焼き芋焼き芋〜」
皮を剥いた石焼き芋を手にして、子供のようにはしゃぐ里香。
早速食べようとする里香だが、それを見て注意しようとする裕一。
「あ、ちょっと熱いかも知れないから、気をつけ――」
しかし裕一の言葉よりも先に、熱い焼き芋にかぶりついてしまった里香。
「アツッ……! 裕一、それを先に言いなさい。もう……吹いて冷ましてよ」
「え、わかったよ……仕方がないな」
口答えした裕一を、里香が少し睨む。
「……何か言った?」
もう黙って焼き芋を吹いている裕一。
「フー、フー、フー」
「ありがとね♪ パクッ…… うん!おいしい。
 裕一にもお裾分けしてあげる」
里香は楽しそうに黄色い焼き芋の大きなかけらを口に咥えたまま、
裕一の口に自分の口を近づけた。俗に言う口移しだ。
「んっ里香……! モグモグ……」
急のことに戸惑う裕一、顔を赤らめて口に含んだ黄色いかけらを味わう。
「どう裕一、おいしい?」
無邪気に笑いながら裕一に話しかける里香。
「う、うん。安い割りにはすごく美味いな」
裕一は少し戸惑いながらそう答えた。
なぜなら、口移しのときに触れた里香の唇の感触がひどく美味しかったからだ。
(焼き芋も良いけど里香を食べたい、なんて言ったら怒られるだろうなぁ……)


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