――僕が意識を少しずつ取り戻して来た時に、最初に感じたのは、
自分は仰向けに寝ていて、その上に誰か乗っかっていて、ちょっと重いなぁということだ。
すると、次第に視界にはおぼろげな、肌色とその輪郭を囲う黒い色のものが浮かび上がってくる。
次に、僕にそのおぼろげなものは、僕に向かって何かを言っているようだ。
僕の名前をしきりに呼んだり、顔を叩いていたりして、様子を気遣っているようでもある。
「あ、――やっと起きたんだ?」
その声がハッキリと聞こえる頃には、僕もようやく目が覚めてきていた。
「ん……里香?」
「もう……心配させないでよ?倒れちゃったのかと思ったじゃない」
「ごめん、なんか気持ちよすぎたみたいでさ……」
僕が寝惚けながらも目を擦り、里香の姿をしっかりと見ようとする。
するとそこには、いつの間にか全裸になっていて、僕の腰の上に跨っている里香がいた。
里香の小振りな乳房に付いている桜色の乳首は、既にツンとしていた。
「全く……あたしのことを放っておいて、自分だけ先にダウンするなんて、さすがは裕一ね」
里香はどこか妖艶な微笑みを浮かべながら、僕に跨ったまま腰をゆっくりと上下に振る。
すると、さっきあれだけ射精して疲れ切ったハズの僕のペニスに激しい快感が走り、半ば強制的に勃起させられる。
なんということだ! 何時の間にやら、僕は里香と騎乗位で繋がっていたらしい。
里香の重みと共に、里香と身体が繋がっていたり触れていたりする部分の温もりを感じざるをえない。
起きたばかりで無防備になっていた神経や精神が、一気に快感に侵されてゆく。
「くあっ……!」
僕が抗しがたい快感に声を上げると、里香は目をギラリとさせてこう言った。
「よかった。これなら裕一も、あと2回くらい出しても大丈夫そうね」
里香がサラリと言った言葉の意味を、僕は一瞬理解出来なかった。
「えっ、あと2回って……?」
つい反射的に聞き返すと、里香はわざと目を細めて、ニコニコしながら僕に言い放った。
「だから、裕一にはあと2回くらい付き合ってもらわないと、あたしは満足出来そうにないの」
里香はそう言いながら、全体重が結合部にかかるように股を調整して広げて、
僕のペニスを膣という口で味わうかのように、腰を振って上下に動き始めた。
「‥‥ということはつまり……っく……!?」
僕が快感のあまり声に詰まると、里香の方から言葉を出してくる。
「大丈夫、ゆういちは……ッ! 動かなくてもいいの……今は、あたしのペースでっ……したいから!」
里香は徐々に腰を振るペースを上げ、まるで僕のペニスを性具のように扱った。
たまったものではないのは、ついさっき精も根も尽き果てたと思ったのに、
無理矢理勃起させられて、しかも後2回も射精することを求められている僕である。
このままでは、赤玉とやらが出てしまうか、あるいは魂が出て行ってしまうかもしれない。
結合部に目をやると、まるで僕のペニスが里香の膣に捕食されているかのようであった。
「あっく……!ちょっ、ちょっと、こんなにされたら俺……!」
まるでさっきとは立場が逆転してしまった僕は、必死になって里香を制止しようとする。
しかし、里香の反応は単純なものだった。
「うるさい……はぁ、んっ……!」
里香は、自分の肉襞に僕のペニスを擦りつけることにご執心で、
僕のことなど考える余裕が無いようだった。
自分の体重で僕を犯しては、自分が貫かれることを素直に悦んでいるようだった。
ズチュッ、ズチュッズチュッ!
「あっ、あっ、ぁっ、あんっ……!!」
騎乗位で一心不乱に腰を振る里香のその姿は、
本当に普段の里香からは想像も出来ないもので、僕も見たことのないものだった。
その姿の淫靡さときたら、是非写真に残しておいて棺桶の中まで持って行きたいくらいだ。
……こうなってくるともう、ご褒美なのか拷問なのかどうかすらも、僕にはよくわからなかった。
……しばらく、僕は一方的に里香に腰を振られ続けた。
すると、里香の膣内がキュッと締まりが良くなってきた。
そのせいで、射精感が徐々に引き絞られていくのを僕は感じ取った。
「はぁっ、ああっ、あっあっ、あんぅっ……!」
里香の息も荒くなり、明らかにお互いの絶頂が近づいていることがわかった。
僕は里香に向かって、『やっぱり中に出したらまずいんじゃないかな……?』
と言おうとしたが、結局やめた。
恐らく里香は聞いてくれないだろうし、もう2回中出している以上、避妊する意味が無いということもわかっていた。
「はあ……んっ……! っあああ!」
里香はラストスパートを意識してか、体重をかけて深い挿入を愉しんでいた。
亀頭がコツンと子宮口を叩く度に、彼女は身体を震わせ、いつ達してもおかしくない状態だった。
「りか……俺は、いつでもいいからなっ‥‥!?」
僕が必死になってそう言うと、里香はコクコクと頷きながら、ゾクゾクッと背筋を震わせた。
「ふああっ!!!やああああああん!!」
そして、急に激しく嬌声を上げたかと思うと、僕のペニスを激しく締め上げた。
里香が快感のあまり泣き叫びながら、僕のペニスに射精を促す。
「うあっ……で、出るぅ!」
僕がそう言うか言わないかという時に、張りつめていた糸が切れるように、一気に射精が始まる。
ビュッ、ビュッ!
「ああんっ……! きたきたっ……ゆういちのあついのぉっ!!」
1日に3回も出すこと自体、そうそうあるわけではないので、かなり強引な快感に僕の理性が削ぎ取られる。
里香の奥に僕の精液が放たれたのが、もちろん一瞬のことであったろうが、僕にはとても長い時間にも感じられた。
楽しい時間は早く過ぎるというけれど、果たして今の状況は楽しめるものだろうか……?
僕がそんな事を考えていると、里香は口から涎を垂らしながらも、
意外とはっきりとした口調で言葉を紡ぐ。
「はぁ……はぁっ……! ん、あと……もう一回、残ってるわよ……?」
そう言うと、里香は余韻を感じたままであるにも関わらず、いきなり腰を上下した。
まだ双方共に敏感な結合部が、ヒクヒクと震えているのが分かる。
「あの、里香さん……も、もう少し手加減を……っあ!」
すると、結合部から漏れ出た愛液と精液と、空気とが混じり合い、小さくジュプジュプと泡がたった。
その白い泡を見ながら僕は、今日無事に家に帰れるかどうか、
いやそれ以前に、腰が抜けて自転車に乗れなくならないかどうか、
かなり本気で心配になったのだった……。
おわり。